【書評6】賢い患者 山口 育子
認定NPO法人 ささえあい医療人権センター COMLの理事長である山口育子さんの著作。
COMLの創設者は、辻本好子さん。62歳でガンで亡くなられたあとを継いで、山口さんがCOMLの理事長に。
私がT社マーケティング部門時代に、辻本さん・山口さんの講演を聴き、またT社で実施していた医療マネジメント研究会にも演者として登壇いただきました。
COMLの素晴らしい活動に敬意を称し、著作「賢い患者」を紹介させていただきます。
1990年に活動を開始したCOML。
インフォームドコンセントの必要性が言われ始めた年。
今では、医療法第1条に「医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手は、医療を提供するにあたり、適切な説明を行い、医療を受ける側の理解を得るように努めなかればならない」と示されています。
法律で定義されている現在でも、医師からの一方的な専門用語を使った説明が行われている場合が少なくなく、
また患者さん自身が病名を初めて知ったという混乱している状態で説明を聞いている場合もあります。
COMLでは、医療者・患者の双方の努力が必要として、双方のコミュニケーション能力を高める活動を実施しています。
患者さんの努力として、本書のタイトルでもある「賢い患者」の定義を定め、
また、新「医者にかかる10カ条 あなたが “いのちの主人公” “からだの責任者”を定め
普及活動や、電話相談、ワークショップの開催を行われています。
「賢い患者 5つの定義」
- 病気は自分の“持ちもの”であると自覚する
- 自分はどんな医療を受けたいか、と考える
- どのような医療を受けたいかを“言語化”して伝える
- 医療者とコミュニケーションをとりながら協働する
- 一人で悩まない
新「医者にかかる10カ条 あなたが “いのちの主人公” “からだの責任者”」
- 伝えたいことはメモで準備
- 対話の始まりはあいさつから
- より良い関係づくりは、あなたにも責任が
- 自覚症状と病歴はあなたの伝える大切な情報
- これからの見通しを聞きましょう
- その後の変化も伝える努力を
- 大事なことはメモを取って確認
- 納得できないことは何度でも質問を
- 医療でも不確実なことや限界がある
- 治療方法を決めるのはあなたです
子供さん用の「いのちとからだの10カ条」も提唱されています。
医療機関向けでは、医療機関を患者さんの視点で改善する「病院探検隊」という活動を実施されています。
病院探検隊を招いて、改善に取り組む医療機関が増えることはたいへん嬉しいことです。
詳しい情報が知りたい方は、COMLホームページ http://www.coml.gr.jp/index.htmlへ