【書評9】Give and Take 与える人こそ成功する時代 アダム グラント
著者は全米トップ・ビジネススクール「ウォートン校」の史上最年少終身教授であり、心理学者。
Give & Takeは当たり前と思われている人が多い中で、その常識的概念に踏み込んで解説している。
人は、Giver、Taker、Matcherの3つに分けることができる。
Giverは、与える人、他人中心であり、相手が何を求めているか、を考える人
Takerは、受け取る人、まず自分中心であり、与えるより多くを受け取ろうとする人
Matcherは、与えることと受け取ることのバランスを取ろうとする人
Taker が好む価値は、富、権力、快楽、勝利
Giverが好む価値は、信頼性、責任、援助、共感
Giverは、自分にとって意義あることをする、自分が楽しめることをする、という条件が満たされれば、他人に与えるだけでなく、同時に自分にも与えることができる。
Giverは成功から価値を得るだけでなく、価値も産み出す。これがTaker やMatcherと異なる点である。
Giverはゆるやかな繋がりの人からの紹介や利益が多くなる。
Giverは価値を交換するとともに、価値を増やすことがらできるからである。
心理学者のソニア リボシアスキーは、1日に一つ与えるより、5つ与える方が幸福度が増すという。
Giverは、どの人にも才能があり、その人の一番良いところを引き出そうとする。根気のあるところに目をつけ、粘り強く引き出そうとする
交渉ごとでも、相手側の視点を理解しようとして合意に持ち込むことができる。
Giverの注意点は、与えたことの承認が全くない時の燃え尽きである。
ボランティア100時間ルールがある。年間100時間を超えても幸福度と満足度は高まらないことから、最適活動時間は100時間と述べている。年間800時間を超えると満足度は低下する。年間52週間のうち、50週間で考えると週2時間が最適となるが少なすぎるという実感の方もいるだろう。週16時間は多すぎて、これが続くと燃え尽きる可能性が高くなると考えるのが良いのかもしれない。
本題にもどり、かつて自分は人の成功を全て自分がやったことにする人、そして失敗は他人の責任にする人を見てきて許せないと思ったことが多々あった。
本書では、Takerの中には一流のペテン師な人もいるらしい。自分に全く利益をもたらさない人をどう扱うかで、その人がどんな人間か判るという。
Giverであること、Giverでいたことの大切さと素晴らしさが実感できた本書である。