
ケアと聴く力

著者の菊岡は、薬剤師の資格を持っています。
製薬企業を中心に医療現場に近い仕事を長くさせていただいてきました。
「聴く力トレーニング」や「リーダーシップトレーニング」など、
人材開発・組織開発のセミナーやトレーニングを
薬剤部、あるいは看護部、歯科クリニック、医科クリニックなど
多くの医療・介護現場の仕事を実施させていただいていました。
この4月から、居宅介護事業を10カ所以上実施している事業者様の
幹部社員(施設支配人、副支配人など)のリーダー研修を実施させていただいています。
これらの医療施設は、人のケアと言う現場です。
ケアの本質は、思いやりと尊重を持って他者に寄り添い、
その人の幸福と尊厳を大切にする姿勢にあると言えます。
ケアとは単なる技術的な行為ではなく、
人としての全体に関わります。
* 相手の存在を全人的に認め、尊重する
* 相手のニーズや感情に敏感である
* 継続的な関心と責任を持って関わる
* 相手の自律性を尊重しながら必要な支援を提供する
医療や介護の現場では、ケアは身体的なニーズに応えるだけでなく、
心理的、社会的、精神的側面も含めた包括的なアプローチです。
家族や友人関係においても、ケアは相互の信頼と思いやりに基づく絆を築く基盤となります。
このケアの現場において、
聴く力はケアの本質的な要素であり、両者は密接に関連しています。
その関連性は、次の3つになると考えています。
1. 理解の基盤
真のケアは相手を理解することから始まります。
深く聴くことで、相手の実際のニーズや感情、価値観を知ることができます。
2. 存在の承認
誠実に耳を傾けることは、「あなたの存在と言葉は価値がある」というメッセージを伝えます。
これはケアの根幹にある尊重の表れです。
3. 信頼関係の構築
聴く姿勢は信頼関係を築く基盤となります。
相手が安心して自分を開示できる環境を作ることで、より深いケアが可能になります。
ケアは、「ケアされる」相手に対して、何かすることが「ケア」と考えがちです。
しかしながら、ただそばにいて「聴く」
これだけで十分なケアになることが少なくありません。
ただそばにいて「聴く」ことで、
・言葉を受け止める(肯定的に受け止める)
・癒されたり、深い充足を得られたりする
・互いのケアとなり、二人は何か深いものに触れ、共有する
が起きます。
介護現場の幹部に対して、「聴く力」を高めるトレーニングを実施できることは
とても嬉しいことだと感じています。