ナレッジマネジメントと人の可能性
最初の勤務先である製薬会社時代に、
最も熱心に取り組んできた仕事の一つが、
ナレッジマネジメントでした。
暗黙知を形式知にしていき、業績向上を図る、「知識経営」です。
(※知識経営のプロセスは文末に記載しました)
「知識経営」の日本の大家、野中郁次郎先生が
2019年9月の日本経済新聞で、
私の履歴書の連載を行われれています。
医薬品の営業では、営業担当者であるMR(Medical Representative)は
個人で活動しているので、そのノウハウ・知恵は、
個人に蓄積されています。
経験の長い担当者や、優秀な担当者は、
当たり前に出来ることが多く、
それが組織に役立つ知恵であると気づいていません。
営業の知恵は、ブラックボックスとよく言われるのは、
営業が個人活動が多いからですね。
ブラックボックスの中には、知識経営で言われる
暗黙知が詰まっています。
”お宝の山” です。
ブラックボックスから”お宝の山”を引っ張り出して、
経験知である暗黙知を言葉にだすことを
熱心に取り組みました。
つけた名前は『ナレッジフォース』
フォースとは、スターウォーズ・ファンなら判る
「秘めたる力」
営業員の持つ「フォース=秘めたる力」を
引き出しました。
優秀な営業員の元を訪れ、
その人が気づいている優秀さ、
気づいていない優秀さを聴き出しました。
優秀さとは、少し違った取組み、少し違った行動です。
その違った行動を集め、ナレッジフォースとして
社内向けのポータルサイトで公開しました。
ナレッジフォースを拡大し、定着させるために、
全国大会を企画して、実行しました。
全国大会の前に、地域(支店)で予選会を義務付けました。
予選会の実施が、知の交流を生むことを狙い、
またナレッジマネジメントの有益さを
実感いただくことを狙いました。
ナレッジフォースをマネしてやることも推奨、
”マネッジ”大賞がエリアで設けられたりしました。
今、考えると、何人の暗黙知=宝の山を、引き出したでしょう。
ナレッジフォースは10年以上続きましたが、
私が主にかかわったのは、立ち上げからの5年間。
年間100件近く掲載していたので、
合計500件は、表出化=形式知にしました。
表出化していないものも合わせると、
その5倍以上はあったと思います。
沢山の人の話を聴き、
その素晴らしい取組みを引き出し、
みんな、それぞれ工夫している
人の可能性って素晴らしい、って
気づかせていただきました。
ナレッジフォースに載りたいと刺激を受け、
さらに工夫した活動を実施する人がいる
人の可能性って素晴らしいと感じました。
ここに、コーチとしての実践と学びを行っている
今の自分の原点の一つがあったと気づきました。
菊岡という名前なのに、
聞けない岡さん、と言われていましたが、
興味のあることは聴ける、「聴く岡」さんがいました。
(参考)
暗黙知を形式知にして4つのプロセス
この4つはプロセスですが、循環しています。
共同化:個人の暗黙知や、小グループの暗黙知を共有する
暗黙知は、個人やグループだけが知っている知恵
表出化:暗黙知を、誰でもわかるように表に出す、見える化する、
形式知になる
連結化:既存の形式知と新しい形式知を結び付ける
新しい方法が創造される(ことがある)
体系化される
内面化:体系的な形式知を実践して、新たな経験を積み、
暗黙知として新しい知恵や気づきが生まれる。