書評
BOOK
2020年08月24日

【書評18】メンタリング・マネジメント 共感と信頼の人材育成術 福島正伸

現在「行動変容を引き起こすコーチング」を頻繁に実施しているが、

私はメンターとして多くの人にも関わってきた。

また企業のメンター制度の導入にも関わった。日本メンター協会にも入り学んできた。

 

メンターのあり方について、書かれた本の中での、私の推薦本が本書である。

著者 福島正伸氏は、早稲田大学法学部卒業後、様々な事業に挑戦し、1988年現・アントレプレナーセンター設立、代表取締役に就任。自立創造型相互支援社会を目指し、自立型人材の育成、組織活性化や新規事業立ち上げ、地域活性化支援の専門家として、これまで30年以上に渡り、約7,500回、述べにして30万人以上に研修、講演を行う。人生が変わったという人が多いと言われている。

 

著者は、メンタリングには3つの行動基準があり、それには、また順番があるとしている。

 

1番目の行動基準は「見本」(となる)

2番目の行動基準は「信頼」関係

3番目の行動基準は「支援」

 

メンターは、「見本」となり、「信頼」を築けて、そして「支援」が可能となる。

一方、メンターに支援される人「メンティー」には、

人は自分の力で成長しようとしない限り、成長することはできない。

 

メンターの定義は、

 

相手が自発的に自らの能力と可能性を最大限に発揮する自立型人材に育成することができる人

 

メンターの3つの行動基準とは、

1.「見本」(になる)

・自分が面倒で、難しい仕事をやる

・ピンチを喜び、チャンスに変える

・ビジョンとポリシーを最優先に行動する

・自分が助けてもらう前に相手を助ける

・自分はヤル気満々に取り組む

・クレーム対応に全力を尽くす

・不満、愚痴は言わない

・常に明るく、できないと言わずにやってみる

・自分が夢を持つ、感動するような仕事をする

 

2.「信頼」関係

・信頼できないと思う人をも信頼する、相手をそのまま受け入れる

・自己開示する、自分の欠点をさらす

 

3「支援」

・手法に頼るのではなく、まず姿勢、在り方

1)聞く、聴く

2)相談にのる、一緒に考える

3)自分の意見を伝える

4)提言するー相手のために貢献する気持ちで

5)教える、指導するー必要な場面で相手にわかる言葉で

6)語るー自分の体験談や夢、失敗談

7)励ます

8)心の底から誉める

9)感謝する、か野津する

10)委任する

11)促す

12) 導く、体験させる

13) 出番をつくる

14 )提供する:リソース

 

 

メンターが行うメンタリングマネジメント対極を「管理型マネジメント」と呼んでいる。

その「管理型マネジメント」の基本戦略は、「恐怖によって人を動かそうとすること」

つまり、評価や上位者としての「権限」を発揮する、

自らの「期待を押し付け」相手を十分信頼せずに「自己の思い通りに動かそう」とする、

相手の意思に関係なく一方的に相手をコントロールする「強制」を行い「飴とムチ」の賞罰で動かそうとする

 

日本の評価制度や目標管理制度は、

福島先生の言う「管理型マネジメント」にとどまっているところが多いのではないか、と感じている。

 

著者は、「自立型人材とは何か」についても記している。

 

メンタリングによる問題解決は、

メンティーが課題や問題を、プラス受信(好意的に受け止める)して、

自己責任による解明(他責にならない)を行い、

メンティーの「見本」「信頼」「支援」により、自立的に解決していくことである。

 

また、管理職とは、部下の管理をする人ではなく、自己を自立型人材として管理する人が行う職で、自立型人材を育てる職である。

 

過去から現在の自分を見えても自省することが多いが、

福島先生のメンタリングマネジメントに近づいていきたいと日々行動していきたい。

 

コーチは、クライアントの有する専門性を有しない場合が多いので、

専門職の「見本」とはなれないが、

日々の過ごし方の「見本」にはなれる。

 

コーチかメンターかと言う二者択一論、二元論は不毛であり、相手の状況や求めることに応じて柔軟に最大限の支援を行なっていきたいと感じている。