【書評25】人を動かす、あらたな3原則ー売らないセールスで誰もが成功する ダニエル・ピンク
「ハイ・コンセプト 新しいことを考え出す人の時代」「モチベーション3.0」など、多くのベストセラーを出していて、私の最も好きな作家、ダニエル・ピンクが2013年に著した書。
ダニエル・ピンクは、ノースウエスタン大学卒業後、ビル・クリントン政権の補佐官、ゴア副大統領のスピーチライターを務めた。日本の漫画が好きで、マンガ学研究のために日本に滞在していたこともある。
出版された2013年当時は、マーケティング・セールスの観点から新たな発見があったが、この3原則はコーチ・コンサルタントにも重要な能力・在り方だと感じている。
人を動かす、新たな3原則を、英語の頭文字ABCで示している。
A: Attunement 同調
B: Buoyancy 浮揚力
C: Clarity 明確性
A:同調には、3つある。
1.視点取得
自分の経験から一歩踏み出して、他人の感情・認識・動機を想像する力
人の視点に入り込み、その人の視点を理解して、その人の目を通して世界を見る力。
(主に思考、認知に関するもの)
2.共感
感情的な反応、継続的関係の構築や対立緩和に役立つ能力。
個人が集団的状況や背景から分離して、単独では存在しない。人々の相関図を書く能力。
3.戦略的模倣
他人と同じことをする。交渉相手の癖を真似る力。観察し、待ち、少し控えた真似をする。
B:浮揚力とは、
自発的・内発的動機から、目標追求の理由を考えるように促すこと。
疑問文形式のセルフトークが役立つ。私たちは○○できるだろうか? 出来るだけ小さな行動の質問が良い。
ポジティブな質問とネガティブな質問は3対1。ポジティブが高すぎても有害に作用する。楽観的であることは必要だが、時折ネガティブに考えて対処することが重要。
C:明確性とは、
見えていなかった様相を明らかにして、置かれた状況を理解できるようにすること。
存在に気づかなかった問題を突き止めさせる能力。
他人の問題を解決するより、問題を発見する能力。
3原則を鍛えるためにやることは?
自分のフレームを見つける能力。
体験させる、レッテルをはる、難点を示す、可能性を強調する、などのワークを通じて発見できる。
質問を使う。
特に抵抗する人には、論理的な質問より、非論理的な質問が有効である。
論理でわかっていても抵抗しているので、そのことを明確にして、共感・浮遊力を発揮させる。
人やチームを動かしていく、リーダー、コーチ、コンサルタントには必要な能力と思いませんか。