書評
BOOK
2020年08月24日

【書評25】人を動かす、あらたな3原則ー売らないセールスで誰もが成功する ダニエル・ピンク

「ハイ・コンセプト 新しいことを考え出す人の時代」「モチベーション3.0」など、多くのベストセラーを出していて、私の最も好きな作家、ダニエル・ピンクが2013年に著した書。

 

ダニエル・ピンクは、ノースウエスタン大学卒業後、ビル・クリントン政権の補佐官、ゴア副大統領のスピーチライターを務めた。日本の漫画が好きで、マンガ学研究のために日本に滞在していたこともある。

 

出版された2013年当時は、マーケティング・セールスの観点から新たな発見があったが、この3原則はコーチ・コンサルタントにも重要な能力・在り方だと感じている。

 

人を動かす、新たな3原則を、英語の頭文字ABCで示している。

 

A: Attunement  同調

B: Buoyancy    浮揚力

C: Clarity  明確性

 

A:同調には、3つある。

 

1.視点取得

 

自分の経験から一歩踏み出して、他人の感情・認識・動機を想像する力

人の視点に入り込み、その人の視点を理解して、その人の目を通して世界を見る力

(主に思考、認知に関するもの)

 

2.共感

 

感情的な反応、継続的関係の構築や対立緩和に役立つ能力

個人が集団的状況や背景から分離して、単独では存在しない。人々の相関図を書く能力。

 

3.戦略的模倣

 

他人と同じことをする。交渉相手の癖を真似る力。観察し、待ち、少し控えた真似をする。

 

B:浮揚力とは、

 

自発的・内発的動機から、目標追求の理由を考えるように促すこと。

疑問文形式のセルフトークが役立つ。私たちは○○できるだろうか? 出来るだけ小さな行動の質問が良い。

 

ポジティブな質問とネガティブな質問は3対1。ポジティブが高すぎても有害に作用する。楽観的であることは必要だが、時折ネガティブに考えて対処することが重要。

 

C:明確性とは、

 

見えていなかった様相を明らかにして、置かれた状況を理解できるようにすること。

存在に気づかなかった問題を突き止めさせる能力

他人の問題を解決するより、問題を発見する能力

 

3原則を鍛えるためにやることは?

 

自分のフレームを見つける能力。

体験させる、レッテルをはる、難点を示す、可能性を強調する、などのワークを通じて発見できる。

 

質問を使う

特に抵抗する人には、論理的な質問より、非論理的な質問が有効である。

論理でわかっていても抵抗しているので、そのことを明確にして、共感・浮遊力を発揮させる。

 

少し難しいのですが、端的には

 

「相手の視点を理解し、想像し、共感する。自発的・内発的動機から目標を考える。存在に気付かなかった問題を発見する。自分の認知フレームを認識する。これらの実現のために質問を有効に使う。」
と理解しています。
売らないで成功するとは、相手が自分の問題だと認識して、それは私に必要だと強く感じるように、進めていくことによります。

 

人やチームを動かしていく、リーダー、コーチ、コンサルタントには必要な能力と思いませんか。