書評
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2020年08月24日

【書評3】ビジョナリー・カンパニー4 自分の意志で偉大になる ジム・コリンズ

ビジョナリー・カンパニー4  自分の意志で偉大になる

私の大好きな著者の一人、ジム・コリンズの著作です。

ビジョナリー・カンパニーは、1作目『ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則』が1995年(日本初版、米国1994年)に発売され、その後『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』『ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階』と続き、4作目の「ビジョナリー・カンパニー4 自分の意志で偉大になる』に続いています。

企業の成功法則を記載したものですが、人の成長・成功にも繋がると考えています。

簡単に最初の3冊の要約を記します。

『ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則』では、経営者が入れ替わった後も長期にわたって成長し続ける企業の特徴を洗い出しています。利益だけではなく、理念も追求し、理念にあった壮大な目標を掲げ、社員のやる気を促します。決して満足せず、改善を実施する環境を作ります。自分たちの価値を大切にした従業員には素晴らしい職場となり、成長を支えます。

『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』は、ある時点から急に業績をのばした企業を分析したものです。その飛躍の瞬間に、何がおこなわれたのかがまとめられています。

3つの円の重なった部分(ハリネズミの概念)に集中します。

(1)情熱をもって取り組める (2)自社が世界一になれる部分 (3)経済的原動力になれる分野、という3つの円が完全に重なったものです。

厳しい現実を直視し、逆境に向かい合う中で、3つの円の重なるところへの行動の蓄積とその活用により、急にスピードがアップしているという成長に繋がっています。

『ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階』は、なぜ偉大だった企業が転落したり消滅したりしてしまうのかにフォーカスを当てています。企業は下記の五段階をへて衰退することを発見しました。

1段階:成功から生まれる傲慢

2段階:規律なき拡大路線

3段階:リスクと問題の否認

4段階:一発逆転策の追求

5段階:屈服と凡庸な企業への転落か消滅

「ビジョナリー・カンパニー4 自分の意志で偉大になる』では、

不確実な時代に中小企業からスタートして、15年以上にわたって目覚しい業績を上げ続けた企業を「10X10倍)企業」として成功要因・特徴を明らかにしています。

20マイル行進ーどんな状況下でも一貫したペースを守る、自制心を保ち個々の企業に合わせて考えら得た独自の規律を持って進む。規律により好循環を起こす。例えば、教育改革では、学ぶ行動を起こす自力で良質な学力向上策を見つける規律に従い繰り返し実行して成果を出す一定の成果まで同じ対策・行動を続ける自信がわく次の行動(改善行動=向上策)を見つけ行動する(好循環)と続きます。

・銃撃を数多く行い、狙ったところに大砲を発射する。つまり、たくさんのパイロットを低コスト・低リスクで数多く行い、評価し、命中(小さな成功)した中で大砲へ変えるもを見出す。見出したものに資源を集中し、精度(成功確率)を高め(高める準備を十分にとった上で)、大砲を発動する。

 例として偉大なアップルでも、成功する製品を出す前に、デザインの美しさを磨き上げるのはもちろん、業務改善、コスト構造の見直し、間接費低下、時間当たりの生産性アップに取り組み、iMacを出したのち、iPodiPhoneへと繋げています。

・死線を避ける。警戒心を強くして、早期に脅威を認識し、出来事のペースに合わせて判断スピードを調整します。事実を把握し事実に基づいて挑戦します。しかし一旦決断したら完璧に行動します。

例として、製薬企業アムジェンの最初の製品EPO(エポジェン)の申請チームに対して、競合の申請準備状況を把握したことから、申請チームの他の全ての仕事を取り除き、FDA申請に集中させ短期間での申請に結びつけ、競合よりいち早く市場に出すことが出来たことが、現在のすばらしい繁栄に繋がっていることを示しています。

ビジョナリー・カンパニーは企業が成功するための処方箋を記していますが、個人の人生にとっても同様に重要な示唆を投げかけています。

今の自分(個人)は小さな存在であっても、自己の価値の合う部分&ハリネズミの概念に集中し、規律を守って進み、傲慢になることなく取り組んでいけば、偉大になれるとも読み取れます。

余談ですが、私は、2008年アムジェンの日本法人設立時に深く関わり、何度もアメリカカリフォルニア州ロサンゼルス郊外のサウザンドオークスを訪れ、アムジェンの第一号ビルなど創設時の姿を記録したものを見る機会に恵まれました。

自分の意志で偉大になった企業の大きな企業キャンパスを実際に見ることで、その経営判断の素晴らしさに感動しました。

さらに余談ですが、アムジェン日本法人の獲得競争のなかで、会社を代表してアムジェンの役員会議室で、居並ぶ経営陣を前に、Marketing & Sales Capabilityのプレゼンテーションを行ったことは、会社人生で最も緊張した瞬間の一つでした。

書評から考えますと、これからの自分は、自己の価値観に合う部分&ハリネズミの概念(世界一ではなくても身近なところで優位性を築いていくことができること)に集中し、規律を守って進み、傲慢になることなく取り組んでいこうという強い思いを新たにしました。