【書評5】行動の科学、達成の科学 マイケル・ポルダック
母親をなくしたショックから重度の吃音症を発症した著者。6歳のときには養父母の家からも追い出されて高校を中退、カネやコネはおろか、家族のサポートすら受けられないなど、絶望的な少年期を過ごす。しかし、たまたま友
人に誘われて参加したセミナーをきっかけに自己変革に目覚め、吃音症を克服。
その後、1000人以上のコーチングを行い、世界最高のコーチであり、スピーカーの一人と言われている。
「達成の科学」2015年1月に出版。
1000人以上のゴールを達成した人の実績と、彼らをコーチングした著者の経験、心理学に基づいて達成を体系化。
「行動の科学」2015年12月に出版。
情報・知識を学ぶ人は多いが、学ぶだけでなく行動・実践することではじめて現実は変わることを強調。
そして単なる実践者ではなく、実践のマスターを目指すことを提唱している。
私は特に「実践のマスターを目指す!」ということに、自分の経験から大きな共感をおぼえている。
「行動の科学」から「実践のマスター」になる道を示している。
人は、進むべき道のたどり方に3つのパターンがある。
1. ちょっとかじってみる、一つ目か二つ目の壁ですぐ行動をやめる
2. ストレスフルな道をたどる。多くの立ちはだかる壁を試行錯誤を行いながら自力でなんとかたどり着く。忍耐と努力の賜物である。
3. コーチのいる道。お手本となる人を見つけて、その人をコーチとして教えてもらう。ゴールまでショートカットできる道である。
私の人生をたどると、1のちょっとかじってみる。2の忍耐と努力で成し遂げる、ことがどれほど多かったであろう。
2が多かったので、時間をかければ自力でなんとか出来るという妙な自信はついたのだが。
ポルダックは、「すぐにやれない人はいない」ともいう。
やれないのは、「今がやれない状態である」こと。
今やれない状態を作っているのは、2つある
1. やることに対して痛みを感じる状態である
2. リミティング・ビリーフ 足止めさせる信念、自分を制限する思い込み
今すぐやれる状態にするには
1. 痛みを感じること、を「快・楽」に置き換える
一つはすぐやることで達成したいことを思い描き、そのゴールを達成したことを強く感じる。
そして、長期のために短期の自己犠牲を払うということを快・楽の行動とする
また、その犠牲となる行動、例えばマラソンを始める人の場合、1km走ったらノートにシールをはる、あるいは小さなチョコを1個食べるなどの快・楽と思われる行動を加えることがある
2. リミティング・ビリーフ(制限する思い込み・信念)を取り替える、置き換える
リミティング・ビリーフは一度の失敗でできていることが多い。
その失敗を正しく(ポジティブに)解釈するために自分に次の質問を行う
・この出来事の良い点はなんだろう
・何がまだ完璧ではないのだろう
・望む状態を実現するために、何を進んでやる
・望む状態を実現するために、何をやめる
・どのように、そのプロセスを楽しむ
「達成の科学」「行動の科学」で著者は、
成功する究極のツールは「毎日のインカテーション」である、
そして、小さな行動を始めて行動を積み上げていく、大量行動を行う、と述べている。
「毎日のインカテーション」とは
自分に力を与え、自分を行動に向けるよう、自分の脳をコンディショニングすること
思考が原因であり、状況は思考から生み出された結果である。
したがって、思考を達成する方向に変えれば、現実が変わっていく。
インカテーションの進め方
1. 自分のビジョン・ボードを作る
成功したいことを書き出す。
いくつかの分野:人間関係、キャリア、健康、報酬、環境、こころ、夢、などについて
1枚の紙(円)に書き出す。 (9マス、大谷翔平選手のマンダラシートなども可)
2. 運動と組み合わせて、ビジョンの中の一つのことについてゴールを達成していること、
それを楽しんでいることをイメージする。映像に描く。
3. ゴールを達成したときに、あなたは自分自身に何というかを、声を出して言う
4. 自分の想いをしっかり感じる。そして「理想の人生を生きるために何が何でもやる」と力強く言う
インカテーションを行なった上で、日々の小さな行動を行う、習慣化することである
習慣化するために、リミティング・ビリーフ(制限する思い込み)をポジティブな信念・力を与えてくれる信念に書き換える。
痛みを感じることを、快・楽を感じる行動に置き換える。
この書き換え・置き換えによって、行動が継続する。
マイケル・ポルダックは、行動の継続だけでなく、大量に行動することを推奨している。
私は個人的には、行動が継続できるようになってから、大量行動に移っていくのが望ましいと考えている。
また、家族や友人、コーチなどの仲間・支援者がいることが継続しやすくなる方法であるとも感じている。