【書評7】リーダーシップは教えられる シャロン・ダロッツ・パークス
リーダーシップは生まれながらに授かっているという考え方がある。
私も子供の頃からそう聞かされ、自分にはリーダーシップは生まれながらに授かっていないと感じていた。
本書では、リーダーシップは、学んで身につけることができるという。
2007年に出版され、リーダーとしての力を伸ばしていきたいと感じていた私に力を与えてくれた一冊である。
著者は、ハーバード大学博士号を取得後、同大学の神学校、ビジネススクール、ケネディスクールの教員・研究員を経て、ワシントン州クリントンのホイッドビー研究所が主催する「リーダーシップ・フォー・ザ・ニュー・コモン」ディレクター。シアトル大学でも教鞭をとる。組織や分化の変化に応じたリーダーシップの形成を行なっている。
リーダーシップとは、「集団に効果的に関わり、人々の力を育成できる存在」である。
学ぶべきこと、身につける資質は、
・メンバーの能力を最大限に引き出す
・複雑なシステムに効果的に干渉する
・創造的な変革を支える
・非言語的なパターン(仕事などの手がかり)を読む
・活力を調整し、集団内の温度を最適に保つ
・人々を懸案事項に対峙させる
リーダーは、現場(ダンスフロア)で取り組むと同時に、観覧席(バルコニー)に上がり、現場に起きていることを俯瞰することが必要である。ダンスフロアとバルコニーを往来することが重要である。
具体的なリーダーの行動をあげている
・集団の感情の声を聴く
・掲げる問題は人によって異なるということを戦略的に認識する
・凝り固まった思考を解きほぐしていく、自己も認識を変えていく
・集団が適応のための「学習」を進めることを後押しする
・システム内(組織内)の自己のもろさに対して、ある意味で敏感に行動する
・変化と適応を必要とする人々に「仕事を戻す」というリスクをとる
・熱量を大幅にあげる
・自分自身を「学習」のプロセスに組み込む
・長丁場となっても最後まで落ち着きを失わない
・必ず「目的」を中核にして課題に取り組む
・思いやりを持つことを人々に求める
・人々の悲嘆や損失に目を向ける
また、次の4つを区分することを推奨している
・オーソリティ(権威)とリーダーシップは異なる
・技術の課題と、適応の課題を分ける
適応の課題とは、人々の内面の意識改革、考え方や価値観の改革
・権力より進行力
前進することが大切、権力で前進するなら活用する、権力が抵抗になるならその力を減弱して進める
・人格と存在感
カリスマ性を求めるのではなく、干渉する力を伸ばす
Johnson&Johnsonグループに勤めたとき、リーダーシップは全ての人が持っているものとして、全ての人にリーダーシップの発揮を求めていた。仕事・人間関係の場面・場面によってリーダーシップの発揮者は変わって良いと言われていた。
全ての人が上記のようなリーダーシップを発揮していけば、Happyな活力のある場が形成されていくと思われる。