書評
BOOK
2026年08月11日

【書評70】 意識の正体 櫻井武

著者の櫻井武さんは、神経ペプチド「オレキシン」の発見者の一人。

製薬業界出身の私にとって、「オレキシン」受容体拮抗薬という新たな睡眠障害の治療薬を生み出した大切な物質です。

意識の正体を考える上で、無意識、潜在意識、睡眠という人が普段意識しない(認知しない)ことに着目しています。

 

意識の中に、あるいは本質に無意識がある。

自分で決めていると確信していることも、実際には、その大半は無意識や潜在意識の中で瞬間的に決定され、

私たちの〝意識〟はその結果を後から追認しているだけなのだ。

覚醒している(起きている)状態が意識の全てではなく、睡眠こそが動物にとって大切であることに言及している。

 

私がとても気になった言葉は、

「私たちはいつのまにか、世界を自分で、観察することをやめ、アルゴリズムが整えた世界を現実として受け止めるようになった。

私たちは、もはや、私という単位で思考しているのではなく、無数の他者の判断や欲望を介して思考している。(思考させられている)

それでも今は、自らの感覚で世界を感じることをやめてはならない。」

 

自分の考えの正体とは何か。自分は本当はどうしたいのか。

立ち止まって、自らの感覚で世界を感じることの大切さが私に響きました。