【書評14】なぜ、われわれはマネジメントの道を歩むのか 田坂 広志
よく、聞かれます。
マネジメントとは何ですか? マネジメント力を高めるとは何ですか?
その答えを探っていく一冊を紹介します。
著者の田坂広志氏は、1951年生まれ、多摩大学大学院の名物教授であり、シンクタンク・ソフィアバンク代表・また社会起業家フォーラム代表を務め、ベンチャー企業や新事業の育成にも取り組んでいて、経営者やリーダーを育成する講座 田坂塾を主宰されています。マネジメント・リーダーシップなどの著作多数。
タイトルである「なぜ、われわれはマネジメントの道を歩むのか」
その答えは、「人間としての成長を求めて」である。
また、「人間としての邂逅・めぐりあいを求めて」である。
部下の成長を支えるための条件として、
自身の成長の意欲が必須である。
その意欲とは、自分は未熟だが一日一日少しでも成長していきたいとして、成長の場を求め、
人間成長に向かって進む人であること、
としている。
安易なマネージャー志向に釘を刺し、
以下のようにマネージャーが考えることを戒めています。
・キャリアアップとして考える
・立身出世の手段として考える
・権限や権力の指標であり、権力志向である
・メンバーや様々なものを操作できると考える
その一方で、
優れたマネージャーが共通に持つ指標とは、
- 部下を一人の人間として遇する
- 一人の人間として成長の可能性を認め、その成長を支える
- 相手の心の動きを細やか感じ取る、部下の「機」を理解する
- 相手の心から集団の心が見えて対応できる
- 謙虚さ・感謝をもつ、それが内面から出てきている
- 心を強くする修練・鍛錬を行っている
マネージャーとして成長するには、
自身の格闘する体験、仕事や人との関わりで格闘する体験から、私にとっての真実を見出し、
人間成長に向かって進んでいくことである。
安易な答えを与える一冊、スキルにフォーカスした一冊ではないが、「在り方」を捉えることができる。
私も、マーケティング部門の製品領域のトップとなり50名以上のメンバーと相対したとき、そして九州沖縄統括として300名のメンバーと相対したとき、スキルではなく人間力を高めることの必要性を痛切に感じた。また、人材育成の必要性をこれまで以上に感じ、弱点だった人間力向上・人材育成に取り組んでいった。このことが現在のコーチングやワークショップ/研修の実施、人に良い影響を与えることにつながっていることから、成長しつづけることって大切であり、何歳でも成長しつづけられると感じている。