書評
BOOK
2020年08月24日

【書評13】Learn Better アーリック・ボーザー

著者は、デジタル時代の教訓として、事実情報が持っている価値の大半が失われ、新たな価値が必要と述べている。

新たな価値とは、

・データそのものではなく、データを使って、いかに思考の質を上げられるか?

・新しいスキルをいかに効果的に身につけるか?

である。

 

著者は子供の頃、学習困難を抱えていた。その経験から、米国先端政策研究所で働き、学びについての研究、発信を行っています。またビル・ゲイツのビル&メリンダ・ゲイツ財団のアドバイザーも務めています。

 

ニューヨークの女子校で、ダーツの実験が行われた。

チームを3つに分けた。

第一チーム「チーム名 結果が全て」には、ボードの中心を狙って投げるように指示された。

第二チーム「チーム名 学習メソッド」には、ダーツの正しい投げ方という技術を身につけるプロセスに集中させた。

第三チーム「チーム名 ベストを尽くせ」には、チーム名の通り、個人のベストを尽くすことが指示された。

結果は、第二チーム「学習メソッド」が三倍近いダーツの高得点を出した。

 

この実験が物語っていることは、デジタル時代には、

「学習の方法を学ぶこと」が究極のサバイバルツールである。

 

著者は、「学習の方法を学ぶー特に専門知識を身につける体系的アプローチ」を以下の6ステップにまとめている。

  1. 価値を見出す:自分にとって学びたいと思う価値あること。今まで学んできたこととの関連づけ。学びたいことを書き出し、関連性や意味づけを探る。
  2. 目標を設定する:自己効力感(自分にはできるという感情・感動)に繋がること、大きな目的の設定、情動が働くものを設定する
  3. 能力を伸ばす:外部からのフィードバックを活用する。反復練習を行い、必要な量のハードワークを時には行う。人は生まれながらの素質だけではなく、練習により必ず身に付く・成長するということを信じる。
  4. 発展させる:基本から踏み出して知識を応用させる。自分にとってより意味のある形に発展させていく。
  5. 関係づける:今までの学びと嚙みあわせる。事実・手順が、他の事実や手順と関連していることを探り学ぶ。
  6. 再考する:間違いや過信が発生していないかを考える。知識の見直し、振り返り、学び直しを行う。

人生100年時代と言われ、またAIの普及により、人生でいくつかの仕事を変わることは一般的になってきている。

大人の学び直しは必須であるが、どのようにして学び直しを進めていくのか、どうすればより効果が高まっていくのか、はとても知りたいことである。

自己と関連する、価値ある学びたいことを、本書が述べている方法で学び、その効果を確認していくことは一考の価値があると感じ、現在私が学んでいるプロコーチやワークショップ、コンサルティングに生かしている。

特に、3のフィードバックの活用、ある程度の量のワーク、5の今までの学びとの関連づけを意識して学びを継続している。