【書評47】キャズム ジェフリー・ムーア
前回の「イノベーションのジレンマ」に続いて、
イノベーション製品のマーケティング&セールスで
重要な理論は、キャズム。
イノベーション製品の普及について
書かれている名著。
顧客を5つに分類し、
普及のステップを示しています。
その5つの顧客分類は
①革新者 イノベーター
②先駆者 アーリーアダプター
③初期多数派 アーリーマジョリティー
④後期多数派 レイトマジョリティー
⑤無関心層 ラガード
①と②は合わせて進歩派とも言われ、
③と④は、メインストリームといわれ
そして、実利主義者とも言われます。
製品価値と売上の最大化に繋げるには、
メインストリームの中の
レイトマジョリティまで普及させること、
その普及スピードは、
製品成長・企業成長に大きく影響を与えます。
IT製品はもちろん、
ハイテクの電化製品、
また私が長年取り組んできた
医療用医薬品は、
ほとんどがイノベーションを有する
技術=製品であり、
本普及ステップが適用されます。
イノベーション製品の普及で
キャズム(溝)が最も深く、
越えるのが難しいところ、
キャズムとは、
革新者①・先駆者②から、
初期多数派③の使用に
結びつけるステップです。
それぞれの5分類の特徴は、
①革新者 Innovators
新しいテクノロジーを追い求める、
斬新なテクノロジーに敏感
正式なマーケティング活動を始める前に
情報を収集して購入・使用する
マーケットに非常に影響力のある場合が多い
②先駆者 Early Adopters
新しいテクノロジーが好き、
情報感度が高い
技術志向もあるが、
新製品がもたらすメリットや
目新しさに満足して購入・使用する
人にその製品の善し悪しを勧める傾向がある
③初期多数派 Early Majority
テクノロジーより実用性を重んじる
購入・使用前に、
必ず導入事例や利用者の声などを
しっかり確認し購入・使用する
④後期多数派 Late Majority
実用性を重んじ、
新しいテクノロジーを使うことに
多少抵抗感がある。
できれば業界標準が確立されてから
購入・使用したい
信頼性やサポートを重んじる
⑤無関心層 Laggards
新しいテクノロジーが苦手、
心理的にも嫌いな顧客層
ハイテク製品は、
ほかの製品に組み込まれ、
見た目にはハイテクさがない場合は
抵抗なく購入・使用することがある
あなたの顧客では、
どの顧客が、この5分類に当てはまるでしょうか。
医療用医薬品の事例で、
このステップを超えることを
記載してみました。
(ここからは書評ではないですね)
最初に革新者①・先駆者②の
使用経験を得ることから
ステップが始まりますが、
この医師たちは概ね
新しい製品を使用したがる人たちです。
製品の新しさ、
機能・特徴が製品使用に結びつきます。
マーケティング部門や
メディカルアフェアーズ部門の
活動ウエイトが高くなる顧客分類ですね。
一方、初期多数派は、
製品の新しさ、機能・特徴からは
製品の使用にすぐには結びつきません。
開発段階の使用患者の背景が
限定的であることを理解しています。
今使っている製品で、
一定の治療が行えているという
現状維持バイアスが働いています。
初期多数派は、
実利主義者とも言われるように、
製品の機能・特徴より、
医療者・患者さんの利益
=ベネフィットを重視する人たちです。
したがって、製品の機能・特徴を、
医療者・患者さんのベネフィットに置き換え
その必要性に質問を投げかけ
提案していく活動を行います。
活動後に使用の確約ができたと
MRが思っても、
なかなか使用に結びつかないことがあります。
使用につなげる追加の活動は、
信頼できる使用者の声を届ける、
MRが継続的なサポート活動を行うことです。
何度もアポイントを取って、
多数派層の不安を取り除き、
信頼を高めていくことが必要です。
MRと医療者の対話が重要になります。
多数派との対話を行う、
何度もアポイントをとる。
アポイント・対話で、
両者が得られる情報が、
顧客と患者さんのお困りごとの解決
叶えたいことの解決
につながるからこそ、
顧客に感謝されます。
読者の皆さんの参考になれば嬉しいです。