書評
BOOK
2020年08月24日

【書評35】サブスクリプション・マーケティング ものが売れない時代の顧客との関わり方 アン・H・ジャンザー

サブスクリプションとは、定期購読のことである。

古くからは、新聞の月極め購読がある。

 

現代では、モバイルフォンやパッドのデバイスなどから、

音楽・映画・ゲームやアマゾンなどの各種サービス、

パソコンソフト(アドビ)の使用など、

 

月極めの定期購読が非常に多く、

 

企業が売り切りモデルから、

サブスクリプションモデルへと変革し、

成功を収めている。

 

サブスクリプション・モデルで大切にされるのは、

顧客の経験価値の育成に取り組むことであり、

顧客の成功を支援することである。

 

サブスクリプション・モデルは

顧客との契約開始後が、始まり。

 

売り切りモデルは、

売り切ったら後は終わりで、

問い合わせ程度のカスタマーサポートが存在する程度。

 

契約顧客の体験を集め、

その体験を育成し、

その口コミによって、

新しい顧客を獲得する。

 

また、契約顧客に

アップセル(上位品の購入)や

クロスセル(違う分野・サービスの購入)を自然に促す。

 

売るのではなく、

顧客の新しい体験を作ることを、

ビジネス(商品・サービス等)にしている。

 

このカスタマージャーニーを

作っていくことが、

サブスクリプション・マーケティングの成功のポイント。

 

マーケターは自分の組織から飛び出し、

顧客の体験の全体像を把握することに注力する。

 

またマーケティング以外の組織の人も、

マーケティングの手法を活用して、

顧客にメッセージを発することが求められている。

 

サブスクリプション・モデルでは、

顧客に付きまとわない、

ことも重要と述べている。

 

顧客が気持ちよく

ビジネス(商品・サービス)を体験することを

創り出す大切さが解かれている。

 

サブスクリプションに関わらず、

顧客が満足してビジネス(商品・サービス)を

使うことは最も大切なことであり、

 

所有から使用というビジネスに

変わってきていることがよく理解できる。

 

様々な”もの”が、所有から使用に

今後も変わってくるだろう。

 

その要因とビジネス構築に必要なことが

理解できる書である。

 

私は、医師から処方される

医療用医薬品のビジネスに

長く関わってきたが、

 

医療用医薬品は、都度必要な時にのみ

使われるものであり、

所有ビジネスではなく、

使用ビジネスであった。

 

使用ビジネスであるにも関わらず

本書のようなマーケティングを行えていたか?

 

顧客が気持ちよく

ビジネス(商品・サービス)を体験することを

 

新たな体験を創り満足する経験を

 

創り出せていたか?

 

成功した製品は、その通りであったと考えている。

 

あらためて、医療用医薬品のマーケティングについても

関連づけて考えることができた。