書評
BOOK
2020年08月24日

【書評37】トップも知らない星野リゾート 前田はるみ、THE21編集部

誰もが知る星野リゾート、

 

現在は国内外で40を超える

リゾート運営会社に成長している。

 

 

その成長の原動力は、

フラットな組織体制であり、

 

その現場でモチベーションを高く保ち、

自発的に行動する社員の存在。

 

社員は自分たちが

やりたいことを実現するまで、

 

粘り強く取り組み、諦めない。

 

 

そのフラットな組織体制を、

やりたいことを実現するために

 

動く社員に焦点を当て、

現場目線で書かれている。

 

 

奥いら瀬渓谷の苔プログラム、

トマムの雲海テラス、

竹島の地域の祭り見学プログラムなど、

 

実例がストーリーとなり、感情を動かす。

 

フラットな組織文化では、

次のことが起こっている

 

・誰かの指示に頼らない

 

・トップの意思決定プロセスは存在しない

 

・トップがやってみることには反対しない

 

・社長の意見より現場の意見、

社長の発想ではなくターゲット世代の発想

 

・役割の異なるメンバーが議論し、

理解と創造を生んでいる、

共感・協働を生む

 

・5年後、10年後のために

今何をすべきかを考えて取り組んでいる

 

・自分たちの行動の結果の一つが

売り上げという指標

 

・チームを率いるディレクターや総支配人は

立候補制度で挑戦できる(何度でも、復活もあり)

 

・働く環境は自分で選べる:

何をやるか、誰とやるか

 

・顧客は友人、社員は家族

 

・社内ビジネススクールがあり、

社員は自分の時間(勤務外時間)を

学びに投資する

 

・社内の情報の流れに規制がない

 

星野は、

かつての上司は、情報を独占することで

発言内容を有利にしていた。

 

情報量の差がなくなると、

議論の優位性がなくなる。

 

その際に必要な力は、

以下の3つであるという。

 

・論理的な思考力

 

・意見をまとめるファシリテーション力

 

・意思決定の際の納得度を高める

コミュニケーション力

 

上長の役割は、

 

情報を渡し、考えさせ、

議論をファシリテートして

妥当な案を選択すること

 

一般に、組織が巨大化すると、

フラットが失われてくる可能性があるが、

 

現場力を常に底上げし、

創造性を高めている星野リゾートは

本書を読む限り、ますます発展すると感じた。