書評
BOOK
2020年10月25日

【書評60】アフターデジタル1・2 藤井保之

著者 藤井保之氏は、ビービットという会社のコンサルタントとして、

さまざまな企業のデジタル・ユーザーエクスペリエンス(UX)の改善を指導。

コロナ禍の影響もあり、日本もアフターデジタルの世界に入っている。

中国はすでにデジタル国家として、データが市民の行動を変え、社会を変えている。

中国のデジタル起業家たちは、ユーザーエクスペリエンス(UX)を第一に考えている。

日本の近江商人の教え「三方良し」を、デジタルで実現している。

代表企業が平安グループ。金融・保険を中心とする巨大グループ。

顧客のお困りごと=ペインポイントを、

有益で利便の高いこと=ゲインポイントに変えている。

医師の予約が取れないペインポイントを、

平安のデジタルアプリを用いることで、簡単に予約が取れるゲインポイントに変え、

保険の加入者を増やしている。保険だけではなく金融商品にもつなげている。

日本を見ても、今まではリアルがメインで、たまにオンライン=デジタルを用いていたことから、

オンライン=デジタルがメインで、リアルがサブに変わってきている。

主従が逆転している。

実際に私も顧客とのミーティングや企業研修は、

90%以上、オンラインで進む。

これを「OMO – Online Merges Offline」

オンラインとオフラインの融合と呼んでいる。

顧客から見れば、オンラインでもオフラインでも

自分のお困りごとなどが解決されればそれで良い。

オンライン・オフラインは単にチャネル(媒体)の選択であり、

どちらが自分(顧客)にとって便利か?価値があるか?で選んでいる。

デジタルツール、デジタルはリアルを補完する道具と良く言われてきたが、

デジタルもリアルもどちらもツールの一つになっている。

オフラインという物理的な制約を持ち込むことなく、

顧客にとって、自由で、便利で、価値のあるものが選択される。

マーケティングも、属性マーケティング、いわゆるペルソナモデルから、

状況マーケティングに変わってきている。

人の状況単位、つまり解決したい用事と課題=お困りごと単位の

マーケティングが望まれている。

これはユーザーエクスペリエンスを起点に考えることに他ならない。

すでに、デジタルとリアルの主従関係は逆転した、ことを前提に

顧客価値、UX最大化を考えていきたい。