【書評60】アフターデジタル1・2 藤井保之
著者 藤井保之氏は、ビービットという会社のコンサルタントとして、
さまざまな企業のデジタル・ユーザーエクスペリエンス(UX)の改善を指導。
コロナ禍の影響もあり、日本もアフターデジタルの世界に入っている。
中国はすでにデジタル国家として、データが市民の行動を変え、社会を変えている。
中国のデジタル起業家たちは、ユーザーエクスペリエンス(UX)を第一に考えている。
日本の近江商人の教え「三方良し」を、デジタルで実現している。
代表企業が平安グループ。金融・保険を中心とする巨大グループ。
顧客のお困りごと=ペインポイントを、
有益で利便の高いこと=ゲインポイントに変えている。
医師の予約が取れないペインポイントを、
平安のデジタルアプリを用いることで、簡単に予約が取れるゲインポイントに変え、
保険の加入者を増やしている。保険だけではなく金融商品にもつなげている。
日本を見ても、今まではリアルがメインで、たまにオンライン=デジタルを用いていたことから、
オンライン=デジタルがメインで、リアルがサブに変わってきている。
主従が逆転している。
実際に私も顧客とのミーティングや企業研修は、
90%以上、オンラインで進む。
これを「OMO – Online Merges Offline」
オンラインとオフラインの融合と呼んでいる。
顧客から見れば、オンラインでもオフラインでも
自分のお困りごとなどが解決されればそれで良い。
オンライン・オフラインは単にチャネル(媒体)の選択であり、
どちらが自分(顧客)にとって便利か?価値があるか?で選んでいる。
デジタルツール、デジタルはリアルを補完する道具と良く言われてきたが、
デジタルもリアルもどちらもツールの一つになっている。
オフラインという物理的な制約を持ち込むことなく、
顧客にとって、自由で、便利で、価値のあるものが選択される。
マーケティングも、属性マーケティング、いわゆるペルソナモデルから、
状況マーケティングに変わってきている。
人の状況単位、つまり解決したい用事と課題=お困りごと単位の
マーケティングが望まれている。
これはユーザーエクスペリエンスを起点に考えることに他ならない。
すでに、デジタルとリアルの主従関係は逆転した、ことを前提に
顧客価値、UX最大化を考えていきたい。