書評
BOOK
2020年08月24日

【書評24】妻のトリセツ 黒川伊保子

黒川さんの講演は、2度うかがったことがあり、

男性脳、女性脳の違いについて、明確に話され、

その上で、Diversityが叫ばれている現代に、

男性は、どう対応していったら良いか

明確に示してくれる。

 

奈良女子大学物理学部卒業後に、AI開発で、ヒトの感性の仕組みを追求されている。

 

本書は、妻という対象に焦点を絞っているが、

男性と女性の違いを書いており、

男性にとって、妻への対応に役に立つ書であることはもちろんだが、

女性の部下・同僚・上司への対応にも使える。

また、女性が読んでも役立つ書であると思う。

 

本書の書評に戻る。

 

会話の目的がそもそも女性と男性では違う

女性の会話の目的は「共感」。

男性の会話の目的は「問題解決」

 

女性の会話は、あいずちだけで良い。話の展開がコロコロ変わっても大丈夫

男性の会話は、答えを求める。脈絡が必要なので、話がコロコロ変わることが許せない

 

女性の会話は2回線

一つは、「こころ」

もう一つは、「事実」

この「こころ」と「事実」には、4つの対応が可能である。

 

「こころ」の肯定と否定、「事実」の肯定と否定、の組み合わせの4つの回線。

 

女性の会話では、4つの回線の中で使うのは、2回線。

「こころ」は必ず肯定。

こころが肯定されれば、事実は肯定でも否定でも良い。

 

男性は、「こころ」より、「事実」を認めて欲しいと思いがち。

したがって、「事実」を認めたから良いだろうという対応を行う。

 

「事実」を認めても、「こころ」が否定されたら女性は許せない。

男性は、必ず「こころ」を肯定しよう。

 

「こころ」が否定されると、理不尽な言葉を男性に投げかける。

男性は、事実を認めているから、理不尽と感じる。

 

では、なぜ、女性脳は、このように対応するのであろうか。

 

それは、女性脳は、脳梁が太く、左脳と右脳の情報の行き来が出来やすくなっている

 

女性が子育てのために備えている標準装備である。

子育てのハプニングに、目の前で起きている出来事に対処するために

過去の関連記憶を瞬時に引き出して、ダイナミックに答えを出す。

究極の臨機応変機能を有している。

 

また、自分が健康で快適でないと、子孫が残せないので、

「こころ」を大切にして、

ストレス信号を低下させている。

 

相手の話は、ハプニングに活かせる情報としての

プレゼントと感じて、共感する機能を有している。

 

男性は、「それ意味ないじゃん」と思うが、

女性にとっては、今意味がないことも、将来使えるかもしれない

プレゼントである。

 

書いてきたような男性脳対応を行なっていると、

私も妻から、私にとっては理不尽な言葉を投げかけられることがある。

 

その理不尽と思える言葉に、そのまま素直に対応していることが多いが、

妻は、全くそう思っているのではなく、

心を通わせる努力が足りない、と叫んでいる(らしい)。

つまり、いろいろ言わずに、共感しなさい、察しなさい、ということ。

 

自宅での妻からの理不尽な言葉には、なかなかコーチングのスキルを使えていない。

「○○っていうのは?」ではなく、単純に共感することが必要なようだ。

 

対話型コミュニケーションなどのワークショップを実施していて、

男性と女性の違いに話題が及ぶことが多い。

 

本書を読めば、その理由がよくわかる。

 

しかし、女性だからという一律対応では、個性を尊重していない。

「私は仕事の時は、全く男性脳です」と言われる女性の方に少なからず出合う。

 

本書を参考にして、そして個々を尊重することがベストと思われる。