書評
BOOK
2020年08月24日

【書評44】つながり 社会ネットワークの驚くべき力 ニコラス・A・クリスタキ

社会的ネットワークがもたらす、

私たちの生活への影響力を研究し、

考察した書である。

 

 

社会的ネットワークの基本的性格は、

1. つながり・絆

2. 伝染ーつながりを通して流れていくもの

 

 

社会的ネットワークの5つの定義を定めている。

 

1. 私たちはネットワークを形づくる。

人間は絶え間なく社会的ネットワークを作ったり、

作り直したりしている

 

2. ネットワークは、私たちを形づくる

 

3. 友人は私たちに影響を及ぼす

 

4. 友人の友人の友人が、私たちに影響を及ぼす

ー3次レベルの影響力が様々な事象で証明されている

 

5. ネットワークはそれぞれ命を持っている、

それぞれ内部の人々にコントロールも認識もされない

特性や機能が備わっている

 

 

3次までの影響の事例として、

ヘルスケア業界にいる私として興味深かったことは、

肥満の伝染、喫煙の伝染である

 

肥満者の、友人の友人の友人は、肥満者であることが多い。

非肥満者も同様。

 

喫煙行動も同様。

 

 

私がアメリカのフロリダ州に仕事で訪れた時、

大きなレストランのお客の80%が肥満であり、

肥満者のソサイエティが形成されていると感じた。

 

 

また、私が転職したある会社は、

あまりにも喫煙者が多かった。

 

男性の70%は喫煙していた。

 

 

本書に戻り、幸せの広がりについての

マサシューセッツ州での研究が記載されている。

 

ある人が幸福だと、

1次の友人の15%が幸福を感じる。

 

2次 友人の友人の10%が幸福、

 

3次 友人の友人の友人の6%が幸福と感じる。

 

2次ー3次となると

指数関数的に人数が増えていくので、

幸福な人の数の輪が広がっていく。

 

本書では、さらに、

創造性を高めて、

成功に結びつく方法が記載されている。

 

それは、強い絆と、

弱い絆を混じり合わせることである。

 

1次と、3次。

 

つまり友人(1次)と、

友人の友人の友人(3次)が、

交じり合うと、

 

新しいアイデアが生まれやすくなり、

成功につながる。

 

新しいアイデア、

新しいビジネスを成功させるには、

 

知っている人ばかりという1次的つながりに加えて、

3次的つながりとの絆を大切にしていく成功事例が

数多く記載されている。

 

今までのネットワークに加えて、

新たなネットワークを築く重要性を

感じた書でもある。